うまくいかなくても悪いところがわかるだけ、まだマシ
年の瀬、自転車のスポークが折れて心も折れる
個人的に今年も帰省NGだった年末。さて、どこで年越しを迎えようか、旅先で迎えるのも悪くない…なんて考えたけれど、異邦人として周囲と一線を置ける海外ならいいが、言葉のわかる人々がどこに行ってもウェイウェイとやっている旅先で一人迎える正月というのもなかなか痛々しい。では、自転車でどこか近場に行って、たとえば増上寺の参道である芝大門あたりで年越し蕎麦を食べて、その流れで初詣に行こうか…なんて考えていた。
ところが…だ。年の瀬になって自転車に鍵をかけようとしたら、あれれ、後輪のスポークが1本折れている。まだ今年買ったばかりなのに…、さてはどこかで何かに引っかけたかな。
すぐに自転車屋に持っていて修理してもらうにせよ、何でも揃っていると思われているであろう都心、しかしここは勝どき、都心の中でも陸の孤島とよばれる街なのだ。近所にスポーツサイクルを直してくれるような自転車屋はない。つまり自分で直すのが一番手っ取り早い。DIYってやつである。
そういうわけで、とりあえずAmazonでちょうどよさそうなスポークを買って取り寄せ、後輪を外して取り替えにチャレンジしてみた。…が、よく考えれば(いや、考えなくても分かることだが)後輪にはギアの歯車(スプロケット)が付いていて、これが邪魔をしてスポークが入らない。
これはスプロケットを外さないとお話にならないと思い、ネットで調べてみると、これを外すにもネジを回すための専用工具が必要らしい。そいつをまたAmazonで探してポチッ!
その工具が届いたのが30日の昼間のこと。これで年内には治せるな…と、スパナを持ってきてその工具を回そうと思ったら、今度はスパナのサイズが小さくてうまくはまらない。ひとつひとつがうまくいかないこの感じ、精神衛生にとても悪いぞい。ただ、分解した車輪と散らかした工具を前にして呆然としていても仕方ないので、またまたAmazonでハマりそうなスパナをポチポチポチッ(←もうヤケクソ)。
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スパナが届くのは大晦日の夜。年の瀬に何度も来てもらい、しかも世間がコタツに入って蕎麦食べながら紅白見ているような時間にスパナひとつ運んでくれる運送屋さんに申し訳なさを感じつつ、これを待っていたら今年も家でクッソ寒い年越しが決定だ…と思った。わざわざ連休中にスポークが折れたのはやはり年末年始は東京を出よという暗示だったか…、配送は置き配にしてあるし、今からでも遅くないからどっかに出るか。いや、やはり今からいろいろ準備するのはめんどくさい。
ちなみにマイサイクルという“愛馬”を奪われた時点で私の機動力は半減以下。自転車のスポークが折れて心まで折れてしまった。たぶん大勢の人から「電車とかバスとか使えよ」とか「シェアサイクルとかあるだろ」とか「たまには歩け」ってツッコミを喰らうかもしれないが、マイカー移動に慣れてしまって電車なんかに乗れない人と同じで、やはり自分の自転車じゃないと出かける気が起きない。それに何年も自転車移動に慣れてしまっていると、水泳選手が陸上を歩く時と同じような感じでとても疲れるのです。
心折れた男性、悪戦苦闘の末…
かくして年越しは自宅で迎えた。Amazonさんが夜9時くらいにスパナを届けてくれた(アリガトー)が、もしこれでうまくいかなかったら独りきりの部屋でイライラと敗北感を抱えたまま2021年オリンピックイヤーが終わるぞと思って、自転車には手をつけないまま来年に持ち越しにした。
そして2022年を迎えてリトライ。工具にスパナを合わせて…お、今度はしっかりサイズが合った、でも、でも、でもでもでもでもでも、
ネジが硬くて回んねー
あ、ネジが硬くて回んねー
ああ、ネジが硬くて回んねー
はい、おっぱっ○ー
明けましておめでタイガーーーーーーー(激情)
新年早々、やりきれなさで自分自身に叫んだね。
マッジッ、ふざけんなよ!
ってさ。笑
それからしばらく試行錯誤しながら格闘を続け、どうにか直すことができた。最後の最後にスポークのサイズが違う…というトラブルを予想していたが、神様もそこまで意地悪ではなかった。パンクでもブレーキパッド交換でも、こうして自転車の修理を自分でやっていると、最初はウン時間とかかることでも次は30分もあればできるだろうと思える。何でも1度経験してみるということはやはり尊い。
そして修理した車輪を車体に戻して走ってみた。
うーむ、まっすぐ走るには走るけど、後輪が一周するたび何か小さくバシッと音がする。降りて確認してみるとどうやらブレーキパッドを微かにこすっているようだ。パッドの位置を変えて、もう一度走り始めた。うん、治ったみたい。
でも、しばらく走ってみると、今度は後輪の方に異物を踏んでいるような衝撃を感じる。また降りて確認してみるとバルブ近くのタイヤがしっかりハマらずにちょっと浮いてる。これは、また空気抜いて修理だな。
…なんて、こんな脈絡を長々と話したかったわけではなく、ここで言いたかったのは、うまくいかなくても「うまく行かない原因がわかる」だけマシってこと。なぜなら悪い原因が分かれば、そこを治せば済む話だから。きっと人生も同じで、うまくいかない時はどこが悪いのかを分析してみて悪い元を正せばいいだけだなって改めて思った。
それでは2022年もよろしくお願いします!
【about me…】
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済など様々。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。