自転車同士の睨み合いに感じた矛盾と、ロードバイクの“言い逃げ”について

我れ先にとかっとばす自転車ライダーたち

銀座のカフェで作業をしてきた帰路のできごと。首都高ガード下のハナマサ前の交差点あたりを自転車で走っていたら近くで大声が聞こえた。声が聞こえた方向を見ると、帰宅ラッシュの人混みの中で自転車に乗った2人の男性が睨み合っている。

片方は明らかに高価なロードバイクに乗った“自転車ガチ勢”のオジサン。もう片方はどこにでもいそうなママチャリの青年。どうやら衝突しそうになったらしく、オジサンが青年を叱りつけている。すぐ上は首都高、人通りも激しいノイズしかないような場所だから、それでも聞こえるのはかなりの声量ということになる。



何があったのかはわからないが、普通に考えれば、オジサンが不注意に飛び出した青年の自転車にぶつかりそうになった…という構図なのだろう。オジサンのものすごい剣幕に対して青年は呆然とした様子だ。

ほかでもない銀座なので、自転車でぶっ飛ばしていれば誰かにぶつかりそうになることは決して珍しいことではない。僕はそこそこスピードの出るクロスバイクに乗っているが、下手な事故には遭いたくないので、街の中では電動ママチャリよりも遅いくらいの速度で走ることにしている。

気になったので旋回しながら再び2人に近づいてみると、オジサンが青年にこう言っている。

分かるか、

2人とも死ぬんだぞ

2人ともな

と。たぶん、不注意でぶつかったらお互い大怪我をすると説教したいのだろう。

それを聞く青年の顔は「は、はぁ」という感じの表情だ。

そして一方的に怒鳴って気が済んだのか、ヘルメットの位置を整えてペダルに足をかけるオジサン。気付くと弾丸のような速さであっという間に消えていった。帰宅ラッシュで日中よりもさらに交通量の多い銀座中央通りを猛スピードで。

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片方はロードレーサーのような速さ。もう片方は周りの流れに合わせたゆるゆるとした速さ。二人の間にどんな危険なことがあったのかは知らない。もしかしたら青年が大変な危険な走行をしていたのかもしれない。

ただ僕は、ぶつかりそうになった青年よりも怒鳴ったオジサンの方の走りを見て、あれに当たったら確かに死ぬだろうなと感じた。急ブレーキをかけたら転ぶようなスピードで街の中を走るのは普通の神経ではない。他人、しかも反論できなそうな若者をつかまえて説教するのはいいが、そこには大いなる矛盾がある。

こういうので常々思うのは、特にロードバイクを中心とした一部の自転車ユーザーのタチの悪さだ。市街地を走っていると交通量の多い中で他の自転車の迷惑になってしまうことはある。僕も今回の青年のように怒鳴られた経験が無いと言えば嘘になる。

ただ、ロードバイクに乗った相手の場合、今回のオジサンと同じように自分の言いたいことだけを吐き捨てて猛スピードで走り去っていくことが多い気がする。そして、ロードバイクくらいのスピードだと他の自転車では到底追いつけない。簡単に言えば“言い逃げ”なのである。



トラブルは決して片方だけの責任とは限らない。怒鳴られた方にも言い分があるかもしれない。その反論を聞かずに自分の言いたいことを言って逃げるのは卑怯だし、逆を言えば反論の余地があると自分でわかっているからこそ猛スピードで逃げるのだ。そして、きっと相手が同じロードバイクなら怒鳴ることはないだろう。なぜなら走り去ったところで追いつかれる可能性がかなりあるから。

そういうわけで、僕は“言い逃げ”のロードバイクや、すれ違いながら文句を言ってくるような自転車の言い分は気にしないことにしている。反論できないような一方的な言葉を長く心の中に留めても良いことはないから。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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