静岡県出身者の僕が20年ぶりくらいに「お弁当どんどん」に行った話

5年ぶりくらいに地元に帰ってきた!

静岡県民に「弁当屋といえば?」と聞いてみると、半分くらいの人が、

どんどん

という答えが返ってくるはずだ。さらに「いま話題のハッピーグルメ弁当とは?」と聞いてみると、きっと8割くらいの人が、

どんどん

と答えるに違いない。



ほっか◯っか亭でもなければ、オリ◯ン弁当でもない。

どんどん

なのである。

というのも、静岡県内で放送されているローカルCMで人々が思い浮かべるもののひとつが、県内企業である「お弁当どんどん」のCMなのである。気になる人はYouTubeなどで実際の映像を見てほしい。

今はどうだか知らないが、少なくとも僕が上京する前は、まだテレビで流れていた。昔といっても平成半ばだ。それでこの昭和感だったのである。

一度聞いたらしばらく忘れられない「どんどん?」のフレーズに、勉三さんみたいな爪入りボーイ。そして、ある意味で多様性時代を先取りしたピンク髪のロックンローラー…。その時代錯誤感もさることながら、ナレーターの男性の「〇〇〇〇行ったー!」が今聞いても何と言っているのかまったく聞き取れない。

子どもの頃、夏休みになると毎日午前中にアニメ特集の時間があって、その時間帯に必ずこれが流れていた。だから僕と同年代以上の人々は特に記憶に染み付いているはずなのである。

CMだけが記憶にあるわけではなく、僕は上京前の一時期、地元で働いている頃によくどんどんに通っていた、ヘビーユーザーでもあった。店舗やサービスも次の店でエッジが立っていた。

・価格に対してボリュームがすごい

・メニューの揚げ物率が高い

・店構えに昭和感が漂う

しかし、時が過ぎて令和の時代にもなれば、そのスタイルも変わっているだろうと思っていた。が、しかし…。


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今週たまたま地元の浜松市に出張する機会があった。しばらく帰らないうちにコロナ禍に入ってしまったので、地元入りはかれこれ5年ぶりくらいか。そして、つつがなく業務を終え、地元なのでプラス1日滞在することでクライアントの了承を得て、翌日は、コロナ禍中にできなかった某目的のためにレンタカーで地元を回ることにした。

電車やバスの移動なら自然と待ち時間が生まれるが、自力で移動しなければならないレンタカーの一人旅は空き時間が生まれないので、昼飯のタイミングを逃すのが“あるある”である。

この日も目的を済ませていくうちに、正午、1時、2時…と何も食べないまま時間が過ぎていく。コンビニとかに寄ってサクッと済ませればいいのだが、そこは、なるべく地元らしいものを食べたい気持ちとのジレンマだ。この調子だと、おそらく今回の帰省では、あと一食しか食べられない。それをコンビニ飯で埋めたくない。

では、静岡らしいグルメといえば?

どうだろう。おそらく静岡県外の人からすると、

「さわやか」のハンバーグか

浜松餃子か

うなぎか

もしくは静岡おでんか…あたりではなかろうか。

ただ、このうち静岡おでんは静岡県の中でも静岡市(中部)中心の文化で、浜松(西部)の文化ではない。そして一人で鰻を食べるほどセレブではない。

そうすると、さわやかか餃子の2択だが、浜松餃子というのは僕が静岡を離れた頃から急に盛り上がってきた話なので、個人的にはあまり思い入れがない。

じゃあ、さわやかのげんこつハンバーグか。この辺走っていれば、さわやかを見つけるのは難しくない。だがしかし…、今度は、そもそも静岡出身者の僕がなぜさわやかに行くのかということを考えてしまう。例えば、僕がミッション、ビジョン、バリューは何なのか。

ミッション(なにを実現するのか)

=静岡に来たという証

ビジョン(何を目指すのか)

=静岡に来たという達成感

バリュー(どんな価値があるのか)

=会話やSNSに使える静岡ネタが手に入る

うーむ、それらを勘案すると決して“ヨソの人間”ではない自分が、いまや静岡に来た証も達成感も手に入れる必要なく、さわやかに寄らなければならない理由に疑問符が付く。むしろ、さわやかによることに特別感を抱いていたとしたら「お前はそこまでヨソ者になってしまったのか」と、自身に一抹の哀しさを抱かなくもない。無論、さわやかのげんこつハンバーグは、そんな理屈抜きに旨いんだけど。

そんなことを考えながら、結局食べるものを決めあぐねて車を走らせている刹那、ロードサイドに「お弁当どんどん」の文字を見つけたのである。

あ、本当に食べたいやつはこれだ。

前置きがだいぶ長くなったが、ここでようやく、どんどんの話に戻る。



帰省しても一人メシはないので、弁当屋に寄ることもない。そういうわけで、どんどんに寄ったのも20年ぶりくらいか。昔通った店舗ではないが、店の感じは相変わらずの昭和感。

店に入ると、懐かしい揚げ物のギドギドしたかほり(笑)。そして先客が注文しているところだったので、壁のメニューを見ると、さらに懐かしさが込み上げてきたのである。

俺が通っていた20年くらい前からメニューがまったく変わってねぇ!



やたらと多い海苔弁の数。

“どんどん”自慢のどんぶり。

揚げ物三昧のジャンボ弁当。

僕が通っていた頃というより、それ以前からずっと変わっていないのだろう。メニュー表のデザインとかフォントも当時のままだから、余計に時が止まったかのように思えるのである。

昔よく頼んでいたやつを頼もうと、注文して程なくして、ほっかほかの弁当が到着。

それではご覧いただこう、これがどんどんの

「のりからランチ」だ。



のり弁と唐揚げが一緒になっているから、のりからランチ。

容器の上を埋め尽くす茶色い絨毯。

おまけ程度ではないほど唐揚げが盛り盛りの重量感。

“ランチ”と付いたネーミングながら、食べたら満腹感で午後の仕事がままならなくなりそうな一食。

とにかく、朝から何も口にしていない限り、今の歳ではおそらく受け付けないであろう圧倒的なボリュームなのだ。

食べ盛りだった頃を思い出して、いま話題のハッピーグルメ弁当を平らげた。想像するまでもなく、満腹中枢は一気に満たされた。あれから東京に戻り、24時間以上が経った後も、いろんな意味で口の周りから、どんどんの余韻が消えない。

他県の方が静岡に来たら、さわやかや浜松餃子もいいけれど、もしも道中でどんどんを見つけたら、ぜひ寄ってみてくだされ。

末筆になりますが、レンタカー会社の方々、車内が揚げ物くさい状態で車を返却してしまい申し訳ございませんでした…。

それでは、皆さまのもとにもハッピートウギャザーが訪れることを願って。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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