【なぜだ⁉】オリジン弁当に寄ったアルフィーのできこと

夜まで仕事が入っていた先日のアルフィー、いや、眼鏡、ロン毛、ヒゲの三人組ではなく、先日のある日。夕方からの通り雨が過ぎていった星降る夜に、そこから家に帰ってメシの支度をする気がしなかったので、何か買って帰ろうとオリジン弁当に寄った時のことだ。
オリジン弁当というと、注文を受けて作りたての弁当が出てくる店舗が主流かもしれないが、うちの近所の店は、たしか昨年に作り置きの弁当をセルフレジで買う店に変わった。僕のようにひとり暮らしで通勤もない身分だと、スーパーで店員と交わす「袋ください」くらいしか一日の会話がないという日もあるのだが、無人化、自動化という変化による無言劇には味気ないものを感じなくもない。
それはさておき、いろんな弁当や惣菜が並ぶ店内は、腹ペコの人間にとってまるでエルドラドのようだ。僕が覗くのは、いつもだいたい入って左手の弁当の店の方であるが、惣菜が並んだ右手のガラスケースで売られているブロッコリーと小エビのサラダは、仕事でいいことがあった時だけ買って帰る、自分へのごほうび的な一品であることを付け加えておく。
時間は夜8時過ぎ。売れ残りが迫る弁当には、ほぼすべてに赤札が貼られている。そのタイミングを狙ったわけではないが、節約派である僕の目がサファイアの瞳のように光ったことは否定できない。
ただ、閉店まではまだ2時間近く残っているので、赤札の表示はまだ10パーセント引き。最後には半額になるので、まだほとんど定価と変わらない…。
ん? ちょっと待て。

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赤札に書いてある文字がなんか違う。僕は仕事の疲れでやや霞んだ目を左手の甲でこすり、もっとしっかり赤札にピントを合わせると、そこには、
「表示価格から10円引」の文字が。

「%」が入ることで目も慣れている箇所が、なんと「円」だったのである。
た、たった10円の値引き!?
きょうび、10円じゃ、うまい棒も買えんぞ。そんなレジ袋の足しにしかならん値引き、きっとメリーアンやJulietだってびっくりだ。値引き額よりも、シールを貼る店員の時間あたり人件費の方が高いんじゃないかとも思えてしまう。
仮に、この時間の値引き弁当を狙ってやってきたとして、10円の値引きをありがたく感じるだろうか。倖せのかたちは人それぞれとはいえ、たぶん違和感しかないだろう。
何か不思議な空間に迷い込んでしまった気がして、詳しく弁当を見ることなく外に出ると、入り口の横には「フードロス対策実施中」というノボリが立っていた。それを見て、なるほど、つまり10円引きという超微妙な値引きの真相は、売れ残りを少なくして廃棄を減らそうという“やってる感”の表れなのだとMy Truthを導き出した。そんな試み、よほどの冒険者たちじゃなければ思いつかない。
兎にも角にも夕食を簡単に済ます気がすっかりなくなってしまった僕は、冷蔵庫の残り物で何か作ろうと考えを改め、自宅まで星空の下のディスタンスを帰ったのであった。

【about me…】
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。