五輪イヤーですが…アテネの一人旅で入場料を惜しんで入らなかった、あの定番観光地
日数が決まっている旅だと詰め込んだ旅程にしてしまうのが悪いところだ。
移動中に一泊できればスケジュールもショートカットできるし、宿泊代も浮いて一石二鳥だと夜行バスを無理くり差し込んで、寒い車内でブルブル震えながら、なんで自分はこの歳にもなってこんなハードな旅をしているんだろう…と自らを省みたり。
今回も前半がかなり厳しい日程だったので、後半始めのアテネには1週間滞在することにした。エジプトがハードかつかなりストレスフルな毎日だったので、結果的にこの選択は当たったと思っている。
しかし、アテネの街で見るべき場所というのは案外少なく、パルテノン神殿が立つアクロポリスの丘、その隣にある古代アゴラ、国立考古学博物館、アクロポリス博物館など、主要どころは2日あれば回れてしまうので、いろんなものがストップする大晦日と元旦を差し引いても、この街で1週間というのはちょっと長い。
よって中心部は隅々まで見ることができたわけだが、マストなスポットの中で、一か所だけ入場料を払うのが惜しくなって入らなかった場所がある。
それが「パナシナイコスタジアム」だ。

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パナシナイコスタジアム
この場所がどんなところか、Wikipediaの序文を借りて説明すると、
パナシナイコスタジアム(英語: Panathinaiko Stadium、ギリシア語: Παναθηναϊκό Στάδιο)は、ギリシャのアテネにある競技場。第1回近代オリンピックの会場として知られる。19世紀に古代の競技場跡地に建てられた。古代オリンピックにならい、トラック(1周330m)の直線が極端に長く、コーナーはヘアピンカーブ。総大理石造りのスタンドは4~5万人収容。
という、スポーツの歴史にとって記念碑的な場所だ。
なお、2004年のアテネ五輪で、女子マラソンの野口みずきが優勝を決めるゴールテープを切ったスタジアムもここである。
ネットで調べると「アテネで必ず訪れたいスポット10選」みたいな、アテネを訪れたことがない人が書いたであろうまとめ記事に必ず入っている名所ということで足を運んでみると、こんな場所だった。
国立の競技場ということで、

こういうクローズな空間を想像してたけれど、公道から中が見えてる造りだった。
こんな感じなら走り高跳びのようにエイっと柵を乗り越えて中に入れそうだ。もちろんそんなわけにはいかず、競技場内へは入場料が必要で、チケットカウンターに行くと大人は12ユーロとのこと。現在のレートでいうと日本円で2100円くらいだ。
う~む、金満ツーリストにとっては屁みたいな金額かもしれないが、我のようなエコノミー旅行者には一日の宿代に匹敵する金額ぞ。中にはオリンピック関連の貴重な資料なども展示されているそうだが、果たして入場料分のリターンは得られるであろうか。
そしてエジプト→ギリシャと神話の地を渡り歩き、遺跡、博物、考古学と歴史的なものにやや食傷的な今の我の頭にスポーツの歴史まで放り込んだところで、見たものを吸収できるだけの余力はあるだろうか。
しばらく考えた末、ここまで来たことだし中まで見ていくかと右のお尻に入れている財布に手を伸ばそうとしたが、やっぱり煮え切らない自分がいる。そして中にいる観光客を見て、一つの悟りを得たのである。
ここで楽しいのは、
メダリストの気分になってはしゃぐこと
なのではないかと。
例えば、

表彰台に立って、みんなでヒューヒューってやったり、

ついでにボルトのポーズとかやっちゃったり、

野口みずきのゴールシーンを真似して、名言のひとつも言ってみたり。
表彰台の前なんかに群れている人たちのはしゃぎっぷりを見ていると、どうにもそう思えてならない。
仮に群れたちが群れる合間を縫って表彰台の一番上に立ち、自撮りなんかをしてみようものなら、
絶対に浮く。
それは土地感のないビーチリゾートに男一人で来ちゃった時の気分に似ているかもしれない。海に飛び込んではしゃいでみたのはいいが、周りはカップルやファミリーばかりで言いようの無い孤独感に襲われるというあれだ(←経験談)。
たぶんここは一人で来るべき場所ではない。
そんな敗北感にも似た感情を覚え、全景を見て訪れたことには変わりないので、風に揺れる無数のオリンピック旗を背にしてその場を後にしたのだった。
無論、あくまで一人旅視点の話だし、行く価値があるかどうかは個人の価値観次第なので、訪れることを否定する話ではない。
※イラストはすべてChatGTPで作成。

about me
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。
