家の近くの収集場所にゴミを捨てに来ただけなのに…
先日のある夜のこと。ゴミを収集場所まで捨てようと外に出たら、家の前の通りで若いカップルと目が合った。ゴミ捨て場は彼らが往く先と同じ方向なので、少し距離を置きながら後ろを歩いていくと、彼氏が彼女の背中に手を回し、ジロジロと何度も後ろに視線をよこしてくる。
おまけにさっさと行ってくれればいいのに、少し酒でも入っているのか、ゴミ捨て場までの100メートルちょっとをゆったりマイペースで進む二人。
あ、もしかしてオレ、なんか怪しまれちゃってます?
そうしてようやく収集場所に着き、ビニール袋で持ってきた瓶やら缶やらを分別していると、今度はなぜか近くに立ち止まってこれまたジロジロとこっちを見てくる。

こっちが男一人と見て自分たちの熱々ぶりを見せつけて優越感に浸りたいのか、そうでなければやっぱりこちらを疑っているということになる。たぶん、いい歳をした単身男性という属性だけを見て、勝手に不安の妄想を広げているわけである。
いやいや待て待て、
暗い夜道で一人、
ビニール袋を片手に、
サンダルをつっかけて、
無防備な姿でゴミを捨ててる。
そんな男をどうして怪しむことができよう?
その判断は読んでいる方の感覚に委ねるとして、昨今変な犯罪が多いとはいえ、ゴミ捨てにきた人間が道で偶然合った君らに2対1のリスクを背負ってまで危害を加えると思うほど、この国の治安は最悪かい?
つーか、そんなに怪しいと思うなら、早く自分たちからここを去ればいいじゃん。

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海外から帰ってきたばかりだから余計に感じるのかもしれないが、周りの他者を異常なまでに怪しむ目で見たり、反対に自分が誰かに見られていると過剰に意識したり、あるいは自分に直接関係のない他者の行動まであれこれ気にして不快感を示したり、そういうのって日本人の悪いところのような気がする。それでいて海外のアウェーになると同じ日本人を見つけても目を合わさず、地蔵のように固まって無関心を突き通そうとするのは不思議なところなんだけどね。
昨今、日本人の民度が下がったとよく言われるけれど、その一方で、時代の変化の中で民度を“こじらせている”人も多いという側面はあると思う。民度が高まりすぎた結果、他者に対する干渉が強くなりすぎて警戒心をこじらせちゃってる。この件もそういう一端なのかなって思ったり。
ますます息苦しい時代だと感じさせられた些末な出来事であった。

about me
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。