初めての海外親子旅の思い出to香港・前編/とにかく首が痛くなった…

ビクトリアピークからの眺め、日中の景色もいいね!

いま、自治権と法の支配を巡って国際的な注目を集めている香港。

その香港は僕にとっても特別な場所のひとつだ。
どうして特別なのかといえば、いつでも一人旅の僕が母を連れて海外旅行をした唯一の場所だから。

ここでは結果的に“珍道中”になってしまったその旅の思い出話をしたい。

母とあわや“今生の別れ”に…

何にもしてなかった還暦祝いを込めて、一度も海外旅行をしたことがなかった母を香港に連れて行ったのは4年前のこと。 香港エクスプレスの航空券が破格的に安くなっていたのを見つけたことが一番のきっかけだったけど、行きは成田、帰りは実家に近い中部国際空港へ帰ってこられるというスケジュールを組めたのも大きかった。“ノリ”で聞いてみると4日間なら仕事の休みが取れるというので、2泊3日で旅程を組んだ。実質2日半を香港で過ごせる予定だ。



なお、母とは昔から友達みたいな感覚。この先「親に対して失礼な奴だ」という言動があるかもしれないので、始めにそうした親子の関係値を前置きしてお伝えしておく。また、ガイド役だったこの旅行ではカメラを出す余裕はほとんどなく、文章だけで旅の記録を楽しんで欲しい。

渡航前日の夜に東京まで来てもらって、翌朝、簡単に築地を観光して昼過ぎに成田空港へ。そして香港に着いたのは夜の10時前のこと。

到着ゲートを出ると「喉が渇いた」と母。すぐ近くにセブンイレブンがあったので 「俺、腹減ったからマックで何か買ってくる。水ならそこのセブンで買ってきなよ」と僕。

本当に軽~い気持ちで言ったんだけど、マックの列に並びながらそういえば、あの人、海外の買い物初めてなんだよな…」ってようやく気づく。ヤバい…、日本では60過ぎの婆さんでも言葉の通じない外国では赤ん坊と同じや…。

それで急いでセブンまで戻ると、どうにか一人で水が買えたようで、店の前でポツンと一人立っていた。人のことを思いやれないのは、いつも一人に慣れきっている人間のダメなところ。海外ローミングの経験がないと携帯使うのもままならないから、ここで行方不明になったら今生の別れになっていたかもしれない。あやうく香港が現代の姥捨山になるところだったのである(笑)。

2日目の朝にまさかのトラブル…?

それからエアポートエクスプレスで九龍に出て、この日はそのままホテルへ。

一人ならチョンキンマンション(バックパッカーにはおなじみの安宿が集まるビル)……までケチらなかったとしても3つ星クラスのホテルでいいんだけど、初めての海外旅行でエコノミーなホテルじゃ変なトラウマを残すことも想定されよう。 そういうわけで“奮発して”4ツ星のホテルを予約しておいた。4ツ星のグレードも様々だが、当時は3泊朝食付きで5万円ほど。一人だったらアジアで1ヶ月分くらい宿代になる金額だ~。

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下町の中にそびえるホテルは、見上げれば首の骨が折れそうな高層ビル。日本人の感覚からすると多少ギンギンギラギラしすぎているけれど、さすが四つ星だけあってフロントもシックでシャレオツ♪

…だがしかし、部屋に入ってみると、な~んか落ち着かない。不動産が高い香港ゆえに部屋が狭いのもあるけど、バスルームも電子カーテンで窓を透明にできる“ヤング”な感じ。正直、親子で泊まるにはコレジャナイ感にあふれている。オラぁ、ブッ○ングドットコムをポチポチしまくって、悩んで悩んだ末に決めたのに何でやねん…と思ったが、母は高層階の窓から見る夜景にいたく感動しているようだったので良しとしよう。 

さて、そんな風に、出だしからガイド(←俺)がやっちまったわけだが、本当のトラブルは次の朝にやってきた…。

翌朝、「バイキングだぜ、いやっほい!」とノリノリで朝ごはんを食べていると、レストランのテレビに空港の映像が。煙を出しながら滑走路に着陸する、見覚えがある旅客機…。そう、それは僕たちが乗ってきた香港エクスプレスの飛行機だ。音声は聞こえないけれど、テロップを見る限り整備上の理由で日本便がしばらく減便される」と出ている。 

「マジか?」と、皿の上いっぱいに載せた食事が一気に喉を通らなくなる僕。僕は帰国が数日ずれたところで大したことはないけど、母は予定通り返さないと職場の人が困ってしまう。ガイドとしては速やかに状況を把握し、場合によっては代替手段を用意しなければならない(責任感!)。しかし、航空会社のホームページを開いてもまだ詳しい情報が出ていないし、これは空港まで直接行って確かめるしかないかも。一人の時はこんなこと滅多に起こらないのに、なぜこういう時に限って起こるんだ…。母も不安そうにこっちを見ているけれど、こっちも一応「旅人」ぶっているプライドがあるので焦った姿など見せられないのだよ(強がり)。



結局、その後、ホームページに運休便の情報が出て、僕たちが帰りに乗る名古屋行きはその中に含まれないことが分かって結果的に事なきを得た。

素敵な親孝行になるはずな旅の雲行きが怪しくなってきたわけだが、格的な観光に出る前からどっと疲れが出てくる出来事だった。

そして、ようやく本格的な観光初日。香港の街へレッツゴー…と行きたいところだけど、ここまでで結構長くなってしまったので続きは次回に。

あー、旅がしたい(一人で、笑)。ではでは。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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