渋谷のツタヤがCDとDVDのレンタルをやめるそうだ

変わりゆく渋谷。

渋谷のTSUTAYAがCDとDVDのレンタルをやめるそうだ。

渋谷のスクランブル交差点の画といえば、中心に高くそびえ立つビルの「109」、その手前でセンター街の入り口両脇に立つ「大盛堂書店」と「TSUTAYA」の3つは特に印象の強いサインだ。

SNSには「時代の流れとはいえ残念」という言葉も見られたが、僕としては、渋谷ど真ん中のあれだけ集客力高い場所で、斜陽のレンタル業がここまで続いてきたことがむしろ驚きだ。

なぜなら、まず僕自身が最近は配信で事足りるのでレンタルに行くことがなくなった。その上で、以前、今はワイズロードになった新橋のTSUTAYAで本を探している時に、お手洗いを求めて地下のレンタルコーナーを覗いたところ、夜8時くらいの最も忙しそうな時間でありながら、客がゼロという散々たる状況を見て背筋が凍った経験から、この業態の“終わり”を感じていた。レンタルショップが華やかだった時代を知っているからこそ、時代の流れを痛感してしまったのだ。



ジャケットや特典など配信にはない付加価値でCDやDVDを購入する需要はあっても、よほどレアな作品でもない限り、レンタルの需要は低くなってしまった。これから先、天変地異でもなければ、レンタルが復権することはまずないだろう。それゆえに今だに渋谷のど真ん中にレンタルショップが存在していることの方が不思議だったのだ。

無論、僕もレンタルにはお世話になった世代である。借りてきたCDをカセットテープに録音して“マイベスト”を作ったし、学生時代の初めの頃は近所にあった無人レンタル店で毎日のように映画を借りて孤独な時間を潰した。何より他でもない渋谷TSUTAYAは、上京して渋谷の会社に勤めた数年間、よく利用した場所である。

当時住んでいた町のTSUTAYAは駅から自宅と反対方向にあり、深夜1時に閉まってしまうため、終電で帰ることが多い生活の中では、職場のある渋谷TSUTAYAの方が利用しやすかったのだ。

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あの頃は地元の静岡から出てきたばかりで、センター街も道玄坂も地理はまったく知らなかった。そんな中にあって、渋谷TSUTAYAのスタバでスクランブル交差点を見下ろしながらコーヒーを飲むというのは、上京を実感するイベントのひとつだった。

ニュースの定点カメラなどによく映る、渋谷駅側から見たスクランブル交差点は、外から来た人が「これぞ渋谷」と思う視点。それに対してスタバのカウンターから渋谷駅に向かって見るスクランブル交差点は、東京という街の中に一歩踏み込んだ人の視点だと当時は思った。

リニューアルのコンセプトは発表されていないが、渋谷駅目の前のあれだけ人が集まりやすい場所だけに、失敗することの方が難しそう。そして渋谷の街も2030年ごろに向けて大規模な再開発が進められているので、その中であの立地に何があれば渋谷がさらに活気付くのか、いろいろな可能性がある。個人的には、若者の街から生まれ変わりつつある渋谷とはいえ、センター街の入り口のあの立地であれば、若い人たちがワクワクさせるものができてほしいと思うのだが。

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鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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