若手時代の南米出張帰りに味わったブラック企業的な経験

帰国直後に衝撃…

今日はTwitterに書いたことを繋ぐだけでブログがひとつ書けそうだ。

元東京都知事の舛添要一さんが過労で入院した小池百合子東京都知事に対して「政治家失格」なんて批判を繰り広げたことで、大いに反発とブーメランを喰らっている。

去年発売された例の「女帝 百合子」を読んだりすると二人の怨恨がよく分かるので、「小池氏を擁護するつもりはないけど、今あなたがそれ言うと元カノいじめだと世間に言われるだけだからおよしなさい」とつぶやいた。



この件、Twitterのトレンドにも上がって騒がれていて、いろんな人のつぶやきを見ていると「舛添さんはブラック発言じゃないか?」という声が多い。そんなのを見ていたら、自分が若手だった頃のある記憶が蘇ってきた。昔の職場には感謝もあるので、ここでは過去の職場の件はなるべく書かないことにしているけれど、古い思いのひとつとして笑い話だと思って読んで欲しい。

【その1】40時間移動して帰国した朝に…

若手の頃、出張が多い会社に勤めていた。そこはワンマン気質の女社長が経営する会社。よって社長に逆らったら自分の席がなくなる恐ろしい環境ではあったけど、上京したばかりで右も左も分からない僕を拾ってくれたし、貴重な経験もたくさん与えてもらったので今では感謝している。

でもワンマンだからか、たまにヒステリックな面が出ちゃう人だったので、僕は某ブランドに絡めて「ヒステリックunグラマー」と心の中で呼んでいた。そういうわけでここでも「ヒス」と呼ぶことにしよう。

象徴的だったのは出張から帰ってきた時のこと。そこの会社は出張に出たらほぼ1ヶ月ずっと休みなしで外を歩き回る仕事が続く。ただ、知らない場所でやることといえば仕事くらいしかないし、要領よく予定を早くこなせば休みを作り出せる仕事だったので、そのハードさについては個人的な能力の問題だと思っていた。

ただ、1ヶ月以上も外に出ていて顔も合わせていないとカリカリとした何かが溜まってくるのか、出張から戻った際には、だいたいヒスのイライラが炸裂するのである。

例えば、南米に出張した時のことだった。南米から日本というのは、ほとんどの場合、北米の都市で乗り換える必要があるので空路で40時間近くかかる。1ヶ月外回りをした後に40時間以上の移動。もちろん地球の裏側から帰ってくるのだから時差ボケも酷く、体内リズムは昼夜逆転したようなイメージで、僕の場合は普通に戻るまで1週間くらいはかかった。

土曜もしくは金曜に帰れれば何とか体調管理に集中できるのだが、その時はたまたま月曜朝の帰国。そうなると金曜まで仕事しながら時差ボケとの戦いなのでだいぶキツい。外回りで足もボロボロだし、せめて今日(月曜)だけでもこのまま家に帰って体調を整えたい。

そう思って会社に電話で帰国報告をして「今日はこのまま帰っていいすか?」とヒスに尋ねたら…、

「は? 出社するのが当たり前でしょ」

と、こちらの予想を覆す返事が返ってきた。

え? いま成田空港で朝9時だから、これから出社したら普通にフルタイムで出勤するのとそんなに変わらないですよね…(←僕の心の声)。

「だって、ヒコーキの中でずっと寝てきたんだよねぇ?」

確かにそれはそうかもしれない。そして、アメリカからの機内でずっと映画を見てました…なんてことは口が裂けてもいえない(笑)。とにかく飛行機の座席に固定された体勢でいるのも意外と体力使うし、今は体がしんどいんじゃい…と思いましたが、結果的に何も抗うこともできないまま、その足で出社して18時まで働き、その週の金曜まで休みなしで出勤したのであった。

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【その2】普通に代休取りたいだけなんですが…

これはまた別の出張から帰国した時のお話。その時は出張がいくつか重なっていて、20代の若さがあっても疲労困憊の状態が続いていた。そんな時にまた1ヶ月の海外出張の話が…。ただ、その時は姉の結婚式を控えている頃で、そこだけは地元に帰れるように予定を組ませてもらった。

そんなこんなで出張へ。例に漏れず、1ヶ月間ずっと外回り。普段なら3週間くらいで足が棒のようになるのが、この時は2週間でその状態に。いささか疲れたな。休みたい。そういえば周りの女の先輩たちも長い出張の後は代休もらってたよな。ちょうど結婚式で実家に帰るし、最近結構働いたから相談くらいはしてもいいかな。

そう思って、出張も終盤に差し掛かった頃、ヒスに業務報告をした電話の中で「姉の結婚式の後、そのままの流れで数日休みをもらえませんか?」と聞いたら、やはりここでも彼女の怒りが炸裂して…、

「は? ありえない。なにナマイキなこと言ってんの?」

ひょえー(怖)。出張でつぶれた休日が結構あるから単純に代休を下さいって話なんだけど。若手が休みが欲しいなんて、百歩譲って僕にも落ち度はあったかもしれないけど、今なら完全にアウトな返し方だと思う。ここも結果的に抗うことはできず、海外出張から帰国→その足で地元に戻って姉の結婚式に出席→翌日には出社というエクストリームな体験をした。

そしてヒスは僕の言葉が相当に気に入らなかったらしく、それから退社するまで事あるごとにこの話を持ち出し、「君は謙虚さがない」と言われ続けたのであった。残念。



ちなみに余談だが、当時の勤め先のように社員10名ほどの規模で、なおかつ社員の入れ替わりが激しい会社になると、1ヶ月も出張に出てしまうと存在自体を忘れられ、出張から戻る頃には自分のデスクに知らない人(新入社員)が座っていることがある。

ハードな外回りによってボロボロになった状態でキャリーバッグを転がしながら会社に帰ると、僕のデスクでそいつがパソコンに向かってカップヌードルをすすっていたりする。無論、相手も何も知らされていないのでこちらの顔を知っているわけもなく、若干やつれている僕の顔を見て「誰?」という顔をし、こちらこそ「誰だよ、お前?」となって滑稽な空気が流れ、不穏な第一印象になってしまうということを付け加えておきたい。

最初に書いたように、昔の職場には感謝もあるので今となってはただの笑い話。今もこうして近い業界でがんばっているので、もしご本人が読んでいたら気軽に連絡をくださいね。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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