個人宅に来る訪問営業の「玄関ノック」って、あり?なし?


人間同士の接触をなるべく控える社会になり、面倒なことも増えれば便利になったこともある。僕にとっては、誰か来ても玄関に出なくてよくなったのは、その最たる例だ。
生まれ育った場所ではなく、近所付き合いなど皆無の都会暮らし。ここで暮らし始めて6年近くが経つが、同じマンションに知り合いもいないどころか、他の住民の名前を一人も覚えていない。
ついでに言えば、これだけ人が集まっている建物なら、災害時など、いざという時は助け合いできるはずだが、普段から連帯感ゼロなので、もしもの際に自分を助けるのは自分のみだと、備えは万全にしておくべきだと思っている。
したがって、僕のもとを知り合いが訪ねてくることはまずない。家族やいきなりやってくることはないし、近所に友人もいない。管理人が何かのお知らせに来る可能性はあるが、そういうのも今では入居者アプリというもので事が片付く。
よって、インターホンを押すのは大半がAmazonや楽天の宅配業者。そうでなければ何かの勧誘だ。しかしながら、そういう呼び出しすら出るのが面倒くさい。
別にぐうたらをアピールしたいわけではない。一人暮らしだと、常に出られる状態ではないということだ。家族がいるなら都合のいい誰かが出ればいいが、一人暮らしだと必ず自分が出なければならない。寝起きのボサボサでも、シャワーを浴びてパンツ一丁の時でも、出られるのは己れのみなのだ。つい最近、女性配達員を主人公にしたテレビドラマがプチヒットしたように、この頃は異性の配達員も増えているから、整わない自分を見られるのは、向こうにとっても気分を害するだろうし、こちらにとっても恥なのである。…というか、そもそも、自宅にいる最も無防備な時に突然ピンポーンと鳴るのは心臓にも悪いので、はっきりいって嫌いだ。
そういうわけで「置き配」というのは超アナログだけど画期的な発明だった。頼んだものが届いても、インターホンで「すんません、今出られる格好じゃないんで」と言えば物だけ置いて帰ってくれるし。Amazonなんかは常時置き配で設定しておけばインターホンすら鳴らない。どうして今までこれができなかったのか首を傾げる面もあるが。

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そんな中、先日の夕方、ピンポーンとインターホンが鳴った。おや? 今日は何も頼んでないはずだけど…。すると、間髪置かずにトントントンと玄関の扉をノックする音が。いやトントントンじゃなくてドンドンドンという強い叩き型だ。これは何事か?
住民としては、インターホン鳴らすだけではなく、ノックまでしてくるというのは、よほどの緊急時に違いないと感じるのである。例えば「近くの部屋が火事ですよ」とか「玄関に鍵がささったままですよ」とか、在宅中なら必ず伝えなければならない用件である。だから、よほどの何かあったのだろうと急いで立ち上がり、インターホンに出てみると男性の声で…
「すみません、工事後のご挨拶で恐縮なんですが、わたくし光回線業者の〇〇から来た〇〇と申しまして、ご利用のご案内に…」
な、なにぃ…?(←私)
まさかの業者だったのである。
「あんた、ただの売り込みでノックまでしたのか?」
つい、タメ口で心の声が飛び出てしまった。
「はい、すみません…」
と一言言って去っていったのか、いや、僕自身が反射的にインターホンを切ったのか、呆気に取られて確かな記憶がない。
単に強引なセールス手法なのか、はたまた光回線だから多少は無理矢理なことをしても誰もが受け入れてくれると思っていたのか。それで客が取れた成功体験があるのか。いずれにせよ、客の獲得に必死なのは分かるが、ノックまでするのは明らかに逆効果であろう。
訪問営業をされている方は、くれぐれもお気をつけください。

【about me…】
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、