スーパーで聞いた謎の掛け声「ありがとうございませ」って何やねん
僕のような一人者からすると、近所に24時間スーパーがあるのは本当に助かる。
会社勤めじゃないから買い物する時間もバラバラだし、何でもかんでもコンビニに頼るのは割高だし、スーパーがいつでも開いているというのは心強い。
さて、ある日の深夜のこと。近所のマックで遅くまで作業した帰りに、いつもの24時間スーパーに寄った。深夜の時間帯は店内ガラガラだ。それでも場所柄、よく見る客は仕事帰りらしき水商売の方々。羽根が付いたようなドレスを着ている人が普通に歩いていても驚かなくなったのは、それだけこの街に馴染んだという証か。
ずぼら家事派としては、買うものなんてその時次第なので、店内をぐるぐるぐるぐる…。無駄に見えて実際は結構気晴らしになっているし、運動不足の解消にも効果があると思う。
そしてレジで会計。「レジ袋いりますか?」と店員さんに聞かれて「お願いします」と僕。コロナ禍真っ盛りの頃は、一日でこのやりとりしか会話のない日がよくあったなぁ…と回想。
そんで自動精算機にありったけの小銭を突っ込んで財布を軽くし、何も考えずに買ったものを詰め込んで…。自分は人間ではなくロボットではなかろうか。そんな自動的な流れで店を出ようとした。
その時のことだった。
「ありがとうございませ~」
自動ドアを潜ろうとした僕の耳に、そんな声が飛び込んできたのである。
それはレジに立つ店員の声だった。
ありがとうござい“ませ”、だと?
そういえば、ちょうど僕が店を出ようとした時、外から男が入ってきた。
もしかしたら、声を出さなきゃいけないタイミングが一緒にやってきて、店を出ていく僕への「ありがとうございました」と、店に入ってきた彼への「いらっしゃいませ」が混ざってしまったのだろうか。
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僕の中には「いま、ありがとうございませって言ったよね?絶対に言ったよね?」と、レジまで戻って店員を問い詰めたい気持ちが沸々と湧いていたが、それこそ変な奴というレッテルを貼られてしまいそうなのでやめた。
いや、たとえ本当に「ありがとうございませ」と言っていても、その間違いを問うつもりはない。何だろう、今までの冗談の中にあったようでなかった、まるでコントの一節かのようなその一言が妙にツボにハマったのだ。
しかし、その言葉は、効率という面で考えると、ひとつのエポックかもしれない。
なぜなら、普通、店に客が入ってきたら店員は「いらっしゃいませ~」と言う。
この時おそらく、外から店に入ってくる客はほとんど「いませ~」のお尻の部分しか聞こえていない。
反対に、客が店を出ていく時は、店員は「ありがとうございました~」と言う。
この時おそらく、外へ出ていく客はほとんど「ありがとうござ」の部分くらいまでしか聞こえていない。
つまり、同じタイミングで入ってくる人と出てくる人がいた時は、わざわざ「いらっしゃいませ~」と「ありがとうございます」を一個ずつ言わなくても、両方の聞こえる部分を組み合わせた「ありがとうございませ~」で済むのではなかろうかと。
実はなかなか味わい深い一言だと思ったのである。
さあ、接客業や販売業の皆さんは、明日から勇気を出して言ってみようじゃありませんか。
ありがとうございませ~。
【about me…】
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。