僕が実際に経験した変な採用面接の思い出 in 香港


ep1.答えを適当に取り繕った男の悲しい末路

ある方が書いた「採用面接で腹が立って『志望動機なんかありません』と答えたときの話。」というブログがTwitterでバズっていた。

採用面接ね。正直マジメに就職活動しなかった僕は受けてきた数こそ少ないけれど、いくつか思い出深い面接はある。特に話の種になりそうな話題は2つ。片方は笑ってしまった話、もう片方はこの方のように腹が立った話だ。



笑ってしまった話というのは、上京して3社目に勤めた某出版社の面接でのこと。

その会社では中途の採用試験でもSPIと適性検査の試験があった。学生時代まじめに就活しなくて、社会人になっても面接だけで採用してくれるような会社に勤めてきたから、恥ずかしながら20代半ばにしてそんな試験を受けるのは初めてだった。

千駄ヶ谷のビルの一室に閉じ込められ、パソコンに向かい合って2時間くらいの試験。まぁ、取り繕ったところで何が正しい答えかもわからないので、素直にありのままに答えた。

で、それから数日して最終の幹部面接。自分より二回りは年上のおじさんたちと2対1の面談だ。これをクリアすれば大手雑誌社に採用がほぼ決まるだけにものすごく緊張したのを覚えている。

何を話したか細かい記憶はないけど、片方のおじさんに「君の長所はなに?」って聞かれた。採用面接だったら絶対出てくる質問だ。もちろん、そんな超イージーな質問の答えは準備してますよっ! そんな軽い気持ちで僕は言った。

「僕の長所は周りの人たちと誰とでも仲良く働けるところです!」

今になってみると我ながら浅い答えだなって思うけど、まぁ、無難といえば無難な答えでしょう。でも、なんだかその答えを聞いたおじさんの表情がちょっと困っている。

え? 俺、何かマズいこと言っちゃった? すると、おじさんが、


「君さ、自分では誰とでも

仲良くできるって

言ってるけど…、


適性検査の結果、


協調性ゼロ”


って出てるよ」


俺の反応↓↓↓↓↓

えーーーーーー、

ガビーン(死語?)


たぶん僕の採用面接史上最も恥ずかしくて、一気にイヤな汗が噴き出た体験。


まぁ、その後、奇跡的に採用してくれて、そのおじさんが上司の上司になったわけですが、とうとう退職するまで何で採用してくれたのか本人に聞くことはなかった。



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ep2.わざわざ香港に出向いたのにカレー屋で面接?

もうひとつの話も同じ時期の転職活動のこと。これは家族や友達にも話したことがないエピソード。

当時、海外に住んでみるのもありかなと思って、ある香港の日系企業の採用募集に応募してみたところ、リモート面談なんかである程度話が進んだ段階で向こうから「You、一回ホンコン来ちゃいなよ!」ってお誘いがあった。

でも、香港までの旅費は自腹。この時点でなんか怪しかったんだが…。

航空券については前職で貯まっていたマイルを使ったのでタダだったけれど、宿泊費は自腹(おかげさまで、かの有名なチョンキンマンションに滞在できました、笑)。

一方で、面接のためにスーツを持参した分だけ荷物は重くなった。

観光しながら数日を過ごして、とうとう面接の約束の日。スーツを着て、無精ヒゲも剃って相手の会社に行った。

確かそこは佐敦站界隈の雑居ビルだったと記憶している。エレベーターホールで担当者を呼び出すと、しばらくしてそのおっさんが出てきた。そして、そのまま会議室なりに通されると思っていたら…、


「ご飯食べた? 外に出よっか」


とおっさん。

え、僕は面談で来たんだけど…。そう思ったけど、気後れしているうちに外へ連れていかれた。

そうして彼のチョイスで入ったのは、日本にも普通にあるようなインドカレー店。その店内の通路脇にある小さな丸テーブルの席についた。

まぁ、そこから最初は面談っぽい話になったんだけど、だんだん小慣れてくるうちに会話の雲行きがあやしくなり…、

「たまに徹夜とかで会社の床で寝ることあるけど、キミ、大丈夫?」

「俺たちは大陸でも仕事してるけど、君の経験程度じゃ、やっていくのは厳しいね」

「スーツの端っこ、シワついてるよ、君さ、ビジネスマナーわかってる?」

圧迫面接のつもりなのか、こちらが自分の経験を交えながら大丈夫だという返事をしても、とにかくずっとディスりたい放題。そりゃ日本からスーツ持ってきてるんだから、移動の間にシワのひとつも付くだろうよ。何で俺は香港くんだりまで来て、こんなにみじめな思いをしているんだろうか。

そんな風にいろいろフルボッコになるまで言われたけど、その間、相手の言葉をただただ聞きながら、若き日の僕はずぅーーっと思ってた。ずぅーーっと。

いろいろマナーだなんだと上から目線で説教をかましてるけど、わざわざ日本から人を呼び出して、ところで…、


カレー屋で

面接する

お前のマナーは

どうなんだ?


こちらも遊びで来ているわけではない(ちゃっかり観光したけどさっ!)から、ちゃんと会議室など整った場所で面談するのが礼儀だろう。こんなガヤガヤしたところで話しても本来の実力出せねーよ。百歩譲ってメシ屋でやるにしてもこっちは遠方から自腹できているんだから、せめて飲茶バイキングとかセッティングしとけ。どう考えても香港でインドカレーはないだろう、インドカレーは。いっちゃん安いやつじゃないけ!(怒)



そんなわけで、どう考えてもブラック環境であることは見えていたので、こちらから丁重にお断りして、ただの観光に終わった香港行き。

それから何か月かして「採用に至らなかったあなたにセカンドチャンス!」みたいな勧誘メールが来ていたけれど、あれでは辞めていく人材も多いんだろうなって思った。今もあるのかなぁ、あの会社。

今日は本当にくだらない思い出話でござんした。それでは。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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