大学入学共通テスト「鼻出しマスク」不正認定で感じるもやもや



先週末、全国で行われた大学入学共通テスト。センター試験に替わる初の実施である上に、今年はこうした状況下にあって「正しいマスク着用」など特別な措置が行われ、受験する側も実施する側にもいつにない緊張感があったことだろう。



そんな中で試験官が「鼻出しマスク」を注意したにも関わらず、それを無視して不正認定になった受験生のニュースが物議を呼んでいる。



記事によると試験会場では「息苦しくて時折、マスクから鼻を出すことは不正ではない」といいう。つまり鼻出しマスクではなく「注意を守らなかったこと」が失格の理由なので、マナーを守らなかった受験者を擁護するつもりはさらさらない。SNSでの反響を見ても、ルールを守らなかった者が悪いという意見が大半だ。しかしながら、なぜか不思議ともやもやを感じている。

なにがひっかかるのかをより深く考えてみると、果たしてこうしたイレギュラーな状況の中で、全会場においてフェアといえる状態があったのかという点が気になってしまうのだ。

今回のテスト、マスクについては次のような声も出ている。



マスクをしていると集中できないなんて言い訳にも聞こえてしまうが、家ではマスクを着けずに勉強してきたような子の気持ちを考えると、そういう意見も一理あるのかもしれない。もしもマスクの着用が集中力に少なからず作用したのであれば、全会場で同じルールが徹底されていなければフェアな状況とはいえないのではないだろうか。

その上で起こるのは、意図的な「鼻出しマスク」は他の会場でも起こっていたように思うのだが、実施側は徹底して注意を行っていたかという疑問。最初に述べたように、注意に従わなかった受験者を擁護する気はさらさらないが、同じく鼻出しマスクをしていたけれど試験官に“スルー”され、マスクの息苦しさから解放されて本来の実力を発揮できていたとしたら、正しいマスク着用をルールとした試験の中で一抹の不平等が生まれていたようにも思える。

余談だけど、中学や高校の頃の僕は何かと悪目立ちする子供だった。実際に真面目とは程遠い生徒だったけれど、それにしても授業中に執拗に差されたり、下を俯いているだけで寝ていると疑われたり、何かと注意されることが多かった。それに対して周りを見ると真面目そうな子が寝ていたり、サボってノートに落書きしていたりして「何でこいつのことは注意しないんだろう?」って疑問に思っていた。

そうした経験から教師も人間であり、人間が判断することがらにおいては、その現象以外の「印象」が大きく作用するのだと子供ながらに感じてきた。有象無象の疑いで注意されるだけならまだいいけれど、それは態度という面で成績にも直結する。ならば、全員を公平に見ないとフェアとはいえない。

もちろん今回の大学入学共通テストは極めて公平に行われたものであると信じているが、その時のことがフラッシュバックして、今回の「鼻出しマスク」の件にもやもやを感じてしまったのだろう。とにもかくにも、今年の受験生は例年と比べても大変な状況だ。まだここが受験本番の入り口。まだ厳しい状況が続くけれど、どうか志望校に受かるようにがんばってほしい。


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