携帯番号090は“おっさん認定”? アラサー、アラフォー男性のエイジングに感じる違和感

090の番号はおじさん?

“おじさん”であることはネガティブか?

ネットニュースをザッピングしていたらFNNプライムオンラインの記事で「携帯番号「090」はおっさん!? 新たな“おじさん認定”にショックの声」というのを見た。その書き出しはこんな感じだ。

『若者から「おじさんみたい」と言われてしまうのは、最近はその人の言動からだけではないようだ。今、携帯電話のある番号でも「おじさん」とされてしまうという投稿が注目を集めている…』

SNSのある投稿がきっかけの記事のようだが、「おじさんと言われてしまう」という最初からディスったような書き出しに違和感を感じた。自分自身はまだ「おじさん」に両足を突っ込んだ年齢ではないが、男が年齢を重ねることはそんなにネガティブなことだろうかと思う。携帯電話の番号で“おじさん認定”されるのをおそれるほど、若者におもねる必要はあるのだろうか。



昨今グレイヘアの芸能人が増えたり、女性誌の特集なんかも多いことから女性のエイジング(aging)に対しては一定の理解が進みつつあるが、男性のエイジングに対しての理解はまだまだ薄いと感じる。それは「LEON」とか「GQ」に出てくるような“イケオジ”みたいな一部の層ではなく、ごく世間一般にいる世の男性という意味で。

何より男性自身に40代も半ばを迎えたらあとは下り坂……みたいな意識が強い。僕の知り合いにも、まだ40歳にも届いていない年齢なのに自分のことを「もうこの歳だから」とか「年寄りだから」とやたらと言う人がいる。人生100年時代なんて言われるけど、君は残り70年近い人生を年寄りとして生きるのかと心の中で感じてしまう。

多様性とか個性とか、今流行りのその手の言葉を用いるのは個人的にあまり好ましく感じないが、「おっさん」であれ「老害」であれ、年相応の「らしさ」が認められない世の中はなかなか息苦しいと感じてしまう。

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仕事で大事なのは「アイデア年齢」

仕事の場面でも世代感でひとつ感じることがある。正直フリーランスという立場になると仕事の評価に年齢は関係ない。20代の若手も50代のベテランもフリーという土俵に立てば年齢関係なく一介のクリエイターである。創る人間に年齢はあっても創作されたものには年齢はない。そうした環境に身を置いていると、老いを判断する基準は「実年齢」よりも「アイデア年齢」だと思う。

例えば、さまざまな年代の人間が集まるミーティングで自分の意見を言えない若手は多い。老婆心で話を振ってあげても固まったままで、振った側の自分がテンパることになる(笑)。そういう時、僕は陰でこっそり「失敗しても大きなダメージにならないのが若手の特権だよ」って肩を押してあげたりもするけれど、固まっている人はだいだいやっぱり固まったまま。

対して、立て板に水のようにすらすらとアイデアが出てくるベテランがいる。それが経験によって成せる技と言われればそれまでだが、僕より歳上でも固まったままのオッサンは結構いるので、やはり単純に実年齢だけで計れるものではない。なかには、若者に負けたくないという反骨心からくるものもあるんだろうけれど、どうであれアイデアがひとつ生産されていることに変わりはないので僕はその熱意を評価したい。



つまるところ、ある人が100年かかっても思いつかないアイデアをたった1秒で思いつく人がいるのだから、10歳や20歳の違いなんて、厳しいことを言えば歳の差や経験の差のうちに入らないのではないだろうか。

もちろん「よがり」の意見ばかり言うベテランがいるのは認める。でも、アイデアがポンポン出てくるベテランは何も言えない若手よりもアイデア年齢という点で「若い」と思っている。そういう経験と熱意を持っている人の意見は大事にしたい。そして「若さは武器」とは言うけれど、ことクリエイティブの現場では、アイデアや意見が出ない若者はいくら実年齢が若くてもこの世界では思考が固まった「年寄り」ということになる。反対に若い人から勇気を持って出した声は、それがたとえとっぴ推しのない意見であっても、その世代のリアルな意見として尊重したい。だから“若さ”をどんどん発揮してほしい。

……なんて男性の世代感について書いてみたが、いわゆる中堅からベテランに差し掛かる年齢にあって、これは自分に対する戒めでもある。世間のムードにも、根拠のないディスりにも流されず、年相応の魅力がある自分でいたい。

今日も乱文、失礼しました。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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