梨泰院クラスでセロイが言った「俺の価値をお前が決めるな」という名言


「愛の不時着」と「梨泰院クラス」をようやく見た
家にいることが長くなったので、とうとう滅多に見たことがない韓流ドラマを見た。韓流ドラマというと韓流四天王時代の「冬のソナタ」「天国の階段」あたりで止まっていて、何を見ていいか分からないので、とりあえずネットフリックスで評判が高い「愛の不時着」と「梨泰院クラス」を立て続けに一気見した。
結果的に言うと、どちらも面白かった。どうしても日本のテレビドラマとの比較になるのだが、日本のドラマはジャンルがはっきりしていて、わりかし予定調和なストーリーに作られていることが多い。それに対して、この2作は恋愛、友情、アクション、サスペンスといろんなジャンルの要素がミックスされていて、次の展開が読めずにハラハラとさせる。
何の予備知識もなく、「愛の不時着」は北と南の悲恋的な話だろう、「梨泰院クラス」は梨泰院を舞台にした池袋ウエストゲートパークみたいな青春モノだろうと思って見始めたが、いつの間にかハマってしまう。展開の面白さもあるけれど、いろんなジャンルの要素を盛り込むことでどの属性の人でもどこかにひとつ、心をつかまれるようなポイントがある。

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「梨泰院クラス」は主役であるセロイの男気あふれる言動がかっこいい。日本の感覚で例えると「昭和的」というか、現代の感覚とはちょっとズレた浮世離れしたところがあるキャラクターだが、腐敗、差別、トランスジェンダー、人種問題と現代が抱える様々な社会課題が描かれるストーリーの中で、時代におもねらない本質的に正しいことを言う。
その「セロイ語録」が、そこかしこで煮え切らない発言が多い今の時代において、視聴者のかゆいところを突いているのかもしれない。ある意味で水戸黄門を見ているような感覚。たぶん、こういう炎上不可避なドラマは今の日本のテレビ局では作れないだろうし、反対に見ている方も“海の向こう”のドラマだから、余所の話として見ていられるのだと思う。
その中で僕がシビれたのは、第4話の中でセロイが言った「俺の価値をお前が決めるな」という言葉だ。事件を起こして収容された少年院で、「どうせ俺たちみたいな前科者は普通の会社で雇ってもらえない」と人生をこじらせた後輩受刑者に対し、彼が言い放った言葉である。
その言葉で思い出した過去の経験
俺の価値をお前が決めるな…っていうのは普段の生活の中でも言いたくなる言葉だ。特に、僕らみたいな属するところがない人間だと余計に。僕はこれまでの生き方と結びつけて自分の人格を決めつけられるのは好きではないし、表面的な見え方だけで生き方をどうこう言われるのももちろん好きじゃない。ただ、そういうことを言われた場面で、咄嗟に「俺の価値をお前が決めるな」みたいな上手い切り返しができるかといえば、まったくできていない。
例えば、フリーになってからのこと。雑誌の編集をしていた頃の同僚と偶然同じ取材現場で会った時に、こんな一言を言われた。
「いやー、鈴木さんにはずっと紙の仕事だけやっていて欲しかったよ」
笑って流したけど、正直なところ、内心ではまさに「俺の価値をお前が決めるな」だった。フリーになった今、何をやろうが僕の勝手だし、もはやデジタルが主流の情報産業において、できる仕事だけやっていても拡がりがないことは自明の理だ。君の思い込みだけで僕の価値を決めるなと思った。あの時、咄嗟の判断で「俺の価値をお前が決めるな」と言えなかった自分が今でも悔しい。
ただ、ずっと同じ会社を飛び立てない彼からすると、新しいことをやっている僕への嫉妬の裏返しだったのかなと(とても自分に都合のいいポジティブな受け止め方、笑)。彼だけではなく、新しいことに挑む人間に対して、その人を自分の価値観の中に留めておきたいと思う人はよくいる。だから新しいことをする時に「やめたほうがいい」とか「心配だよ」とか言ってくる人がいたら、その人が本当に本心で言っているかをしっかり吟味したほうがいいかもしれない。その上で、自分の価値を本当に上げたいならば、誰が何と言おうと新しい挑戦に挑むことをおすすめする。
今日も笑いゼロの話でした。それでは。

【about me…】
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。