アリ or ナシ? 一人暮らし自炊派の僕が「外食では決して食べない」メニューとは
自炊に慣れると外食でも気になってしまう“コスパ”
独立して通勤というものから解放されてから自炊中心の食生活に変わった。とはいえ、一人で毎日3食すべてをまかなうのは大変なので、1日のうち1食は外食や惣菜で済ませることもあれば、数ヶ月のうちに1週間くらいまったく包丁を持たないこともある。
そして、そんな風に日常的に料理を始めると、外で食べるものにも自然とコスト分析をする眼が備わってくる。食材の原価や調理の手間を自分なりに分析して、果たしてこのメニューはコストに対して適切な価格なのかと。せっかくの外食だけに自分の中のコスパを満たすものを選びたいと思っている。
一人で外食する際に僕が重視するポイントは次の3つ。
・価格と原価との釣り合い
・使っている食材の数
・レアな食材の有無
・調理の手間
・普段、家で食べないものかどうか
当たり前といえば当たり前のポイントばかりだが、自炊派の眼は外食派に比べてかなりシビアである。価格や食材のコスパに厳しいことはもちろん、家で頻繁に作る料理の“ターン”をわざわざ外食で消費してしまいたくないというこだわりもある。例えば、カレーや牛丼はそうした中の代表的なメニューだ。それとは反対に、揚げ物などは一人分だけを作るのは片付け含めて結構大変なので、家で作るよりも外で食べることが多い。
さて、今回はこれらのポイントを踏まえた上で、自炊派おひとりさまの僕が「外食では決して食べない」5つのメニューとその理由を挙げてみた。
①焼肉定食
もっともシンプルな家庭料理である焼肉。一人暮らしをしていると、どうしても時間がなくてゆっくり食事の準備をしている余裕がないタイミングにぶつかることがあるが、そんな時はとりあえずフライパンで肉を焼けば空腹が満たされる。調理時間は3分もかからない。スーパーに行けば、焼き肉のタレが種類豊富に揃っていて、わざわざ外食の味を求める必要もない。そんな風に家で食べることも多いし、“もしも”のターンを埋めてくれるメニューだから、外で焼肉定食を食べるのはもったいないと思ってしまう。市販では手に入らないような肉を炭火などで焼く焼肉は「アリ」だけど、食堂の「焼肉定食」は「ナシ」。
②カフェのパスタ
これはカフェ限定のチョイスね。僕は基本的にカフェは飲食をする場所ではなく時間を過ごす場所だと思っているので、カフェで食事をすることはまずない。特に、なぜカフェで食べるのだろうと疑問を感じてしまうのはパスタだ。レンチンで簡単に調理できるためか、チェーン系カフェにはだいたいパスタメニューがある。でも、コーヒーとセットで1000イェンくらいするので、ランチに使う額としては平均かちょっとお高め。単純に原価で見てしまうと、外食のパスタの量は一食100gが基本と言われているので、700~800円あれば他の材料費入れても5倍はできると思う。なお同じ麺類でも、ラーメンはスープを作る手間がかかっているし、讃岐うどんはあのコシのある麺は家では味わえないので、外で食べるのは「アリ」のグルメである。ただカフェでパスタを食べている風景は、とても都会的な人に見えることは否定できない。
③お刺身定食
「食堂でお刺身定食を食べる人の気持ちがわからない」は、僕の記憶にある数少ない鈴木家母からの教えである(笑)。確かに、何の調理の手間もかかっていないから魚屋で刺身を買ってきて、家でご飯を炊いた方が安上がりだし、同じ価格でたくさん食べられる。ただし、漁港の食堂なんかで食べる刺身定食は、港町に来たというイベント込みなので、もちろん外食でも「アリ」だと思う。
④もろきゅう(居酒屋メニュー)
以前、居酒屋で飲んでいる時に友人が頼んだ「もろきゅう」を見て驚愕した。スティック状に切ったキュウリにもろみ味噌を添えただけ。壁にかかったお品書きを改めて見ると、なんと400イェン。牛丼1杯とほぼ変わらない値段じゃないか。キュウリ一本30円くらい、味噌入れても原価は50円くらいじゃなかろうか。酒の肴に小盛りのおつまみを少しずつ食べられるのが居酒屋の良さだけど、メニューを見ていると同じように主婦感覚目線が出て原価で見てしまうことがある。焼いただけの厚揚げとか、小皿にちょこんと乗った漬け物とか、薄切りにしただけのトマトとか…、まぁ、そんなことを考えながら飲む酒は決しておいしいとは思わないけれど。
⑤ローストビーフ丼
一時期流行ったローストビーフ丼。僕は家に低温調理器があって自分でローストビーフを作るので外でローストビーフを食べるということはほとんどない(ホテルビュッフェなどで思う存分食べられるローストビーフは大好物だが)。これは店によって当たりはずれもあるんだろうけど、ご飯の上に薄切りの牛肉がヒラヒラっと乗っているだけで、食後の満足度は著しく低い。使っている部位が違うとはいえ、同じ「薄切り牛肉&ご飯」の組み合わせである牛丼と比べると、ローストビーフ丼はだいぶお高め。たぶん、こんなにババっと店が増えたのも投資コストと原価コストがそこそこ低く抑えられるからだろう。ローストビーフという響きとフォトジェニックなビジュアルが魅力的に映るが、自らの経験からいっても食べた後になんか物足りなくて別のものを入れようとしてしまう。
まとめ
極私的な視点からのチョイスになったけど、共感が得られるものはあっただろうか。もちろん何を食べるかはコスパだけではなくて、その時々の気分の問題でもあるので、「例えば…」レベルの雑談話だった。もし他に「外食では食べないメニュー」があったら、ぜひ教えて欲しい。
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鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済など様々。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。