教えたがりおじさん vs 話を聞かないおばさん 乃木坂決戦

乃木坂46ファンの聖地・乃木坂

シンクロニシティが感じられない会話

今日もブログを通じて話したい誰かがいる。

勝どきにある我が家から自転車で渋谷・表参道方面へ行くには、新橋から赤坂に入り乃木坂から南青山に抜けるルートを使うのが最も早い。先日も原宿で取材があったのでその道を通った。

その帰りのことだった。夕方に差し掛かる時間帯、乃木坂陸橋を下って乃木神社を過ぎたところで、おそらく60歳代と思しき女性が大きく手を振って僕の行く手を遮ってきた。何かお困り事なのだろうから止められたこと自体は別に悪く思わない。だがしかし…である。



こちらが「どうかしましたか?」と聞くと、女性は

「ここ歩いていったら渋谷まで行ける?」

と聞いてきた。

単純に「渋谷」といってもけっこう広い。観光の人だと渋谷=スクランブル交差点だけをイメージするかもしれないが、セルリアンタワーやBunkamuraなど駅から少し離れたところにもランドマーク的なスポットがいくつかある。よって、一応「渋谷駅ですか?」と確かめると、彼女は「そうそう」と言う。

うーむ、確かにここをまっすぐ行けば渋谷駅に着けなくはない。でも、ここから歩いたら3キロはある。日中のお散歩なら楽しい道のりとは言えなくないが、寒さが滲みるこの時期の夕暮れ前に女性が一人で青山墓地の中を歩くってのもどうなんだろうか。

その上、根津美術館前の交差点を右折して青山通りを左折する…というルートが一番わかりやすいのだが、おそらく土地勘のないであろう彼女にその道筋を説明するのはちょっと難しい。

なので、できるだけわかりやすい言葉にして「行けますけど、1キロちょっと歩いたところにある根津美術館という…」と説明しかけたのだが、こちらの話に被せてくるように彼女は…、

「渋谷に行ける?」

って、繰り返し同じことを聞いてくる。

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自転車で走る人を止めておいて、相手の話をちゃんと聞かないのはどうなんだ…と思ったが、まぁ、こういう人は先々で不安になってまた別の人に道を聞くのだろうと思った。そこで、とりあえずの道だけを教えようと思い「ここのトンネル(乃木坂トンネル)は歩行者は通れないので、そこの階段を…」と話した。すると…、

「渋谷駅に行けるのね」

と、また被せるように言ってくる。

こうなって来ると詳しく説明する気も失せるのだが、「ちょっと遠いっすよ」って言っても「あっそ」の雰囲気である。

いや、そもそもこちらは、ここで初めて会った相手に敬語使っているんだけど、

タメ口ってどうよ?

と思ったが、ここで鈴木は今の状況における、ある事実に気づいてしまった。

ただのインフルエンサーであれば良かった

彼女は「この道で渋谷に行けるか」を聞いているのであって、けして「どうやって渋谷に行けるのか」を聞いているわけではない。どのように渋谷に行くかとか、ここからだとだいぶ遠いですよなんてアドバイスはこちらが勝手にやっていることだ。

つまり今の構図における僕の立ち位置は、気付かないうちに最近俗にいう

教えたがりおじさん

になってしまったのである。

彼女が聞きたいのは「行けるか、行けないか」の二択であって、ただ「行けますよ」と教えるインフルエンサーであるだけでいいのだ。その先、青山墓地で墓石立ち並ぶ中をさまよおうが、本当にただただまっすぐ歩いていって目黒とか世田谷とかの方に行っちゃおうが僕チンは知ったこっちゃないし知る手段もない。僕の気づいたら片想いの思いやりは“老婆にかけている老婆心”に過ぎないのだった。



よって「すぐそこの乃木坂駅から地下鉄を使えば10分くらいで着きますよ…」と、何とかもう少し詳しく教えようとも考えたが、ジコチューで行こう!を地で行くような態度でつかつかと去っていく彼女の背中を見て、まぁ、帰り道は遠回りしたくなるものだよな…と、もうこれ以上、教えたがりおじさんになるのはやめて放置した。

乃木坂で放置した60代、そんな彼女は、

「乃木坂放置60’s(のぎざかほうちしっくすてぃ)」

だなと下手な冗談が浮かび、走れ!Bicycleという思いでペダルを踏んで帰路についたのである。

あ、最後に一言…、それでも命は美しい。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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