わざわざ「こんな面倒な奴に意見を求めてくんな」というお話

面倒くさいやつですかね、あたし?

編集ワークで外部のライターさんのインタビューなどに立ち会う際、つつがなく話が進行しているかチェックするだけでいいような場合でも、聞き漏れはないか、もう少し突っ込んで聞くべきことはないか、追加で聞くべきことはないか…、と頭の中を回転させてしまう性格である。もちろん主役は自分ではない。ただ、自分がそこにいる意味を求めてしまう。

例えば、予定調和な取材を見て傍観だけして帰るならば、別に僕がそこにいる意味はない。その仕事をより価値の高いものにするため、100点の出来栄えを120点の出来栄えまで磨くところに自分の価値がある。やや意識高い系に映ってしまうかもしれないが、それが自分の仕事の本質だと思っている。関わる人によっては一生懸命な人、めんどくさい人、どちらにも転ぶ性質だと自覚している。



それは取材だけに限らない。しばらく前にこんなことがあった。

あるオウンド系メディアのお仕事で、僕が書いた記事をネット広告用に使うので、掲載用のバナーを確認してほしいと制作会社の方から頼まれた。写真の上に30文字くらいのコピーが載っているだけの簡単なものだ。

しかし、そのたった30文字の文言が僕の視点からすると日本語的にどうにもおかしい。こういうのは実に悩ましい。送ってきた側はこれが完成品、これが正しい日本語だと思って送ってきているので、変にお茶を濁してもヘソを曲げるだけで僕に何ら得はない。当たり前だと思っているものを覆すほど労力が必要なものはない。

でも、変なものを変なまま通しても「それって誰得?」なのである。多くのエンドユーザーは素通りだろうが、目ざといユーザーから変なツッコミを喰らうリスクもあり、自分の仕事の先にある遠くの方向を見るとクライアントのためにもならない。そういう思考が僕の頭の中ではたらいた。

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そういうわけで、「日本語おかしい」とはっきり言ってしまうと相手が逆上するのが見えているので、オブラートに包みながらこう伝えた。

「ここなんですけど、こういう言葉で表現するのは違和感があるので直せませんか?」

しかしどうだろう、その理由について詳しく伝えても相手は不満気味の反応だ。そこには彼の中で自分たちが作ったものが正しいというヒエラルキー意識がある一方で、僕自身が彼の信頼を得られていないのもあるのだが…。そして、結局、

「今から直せないんで、これでいきます」

と押し切られてしまった。全体を見渡している僕からすると、もう直せない…わけもなく、それは相手に都合の良い理屈だとわかっているけれど、本来業務に含まれていない一銭にもならない件でこれ以上関係をこじらせてもしかたないので諦めることにした。

細かな経緯はどうでもいいのだが、ここで最初の話に戻る。僕はどんな件であれ「100点の出来栄えを120点の出来栄えまで磨くところに自分の価値がある」と考えている。つまり、見た目100点に思えるものにも何かしらの意見を添える性格なのだ。普段の何気ない会話だってYes or Noだけで答えずに、何らかの意見を添えるようにしている人間なのである。ただし、そこに自分の色に染めようとか、自分の利益を誘導をしようとか、そういう恣意的な感情は一切ない。いいものができるかどうか、それだけがフリーランスの身分としての正義なのである。



対面コミュニケーションが下手になりつつあるこの時代。自分の意見にそぐわない「意見」を「反論」と受け止める人が増えている風潮のはよくないところだ。最初から意見を聞く耳を持たず、さらに意見を述べた側に不快さをぶつけてくるのはいかがなものか。それより何よりも初対面の関係でもなく、僕の性格を知っているのだから、自分の仕事と直接的に関わりのない意見を聞かれている上のケースの場合、

そもそも、こんな面倒な奴に意見を求めてくるな!

という一言に尽きるのである。笑

ただ、このケースは初めに向こうから「見ますか?」と聞かれたものを「見せてほしい」と言ってしまった自分にも反省があるのだけど…。まぁ、ひとつひとつのことにそんなことを考えていても疲れが溜まるだけなので、Yes or Noだけで流せる人間になれないものかと考えさせられるところでもある。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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