コンビニのトイレ待ちで感じた、妙に気疲れするこの世界
昨今はジェンダーレストイレなるものが社会に一石を投じているが、「こういう場合どうするんだろう?」というケースに遭遇したので記しておく。
先日、イートインをよく使うコンビニのトイレに行ったら、男性用も女性用も埋まっていて、僕の前に女性が順番待ちしていた。
いつも使う時は先に並んでいる人はそうそうない場所だ。特に女性が待っていたケースは一度も無かった。
それゆえに気付かなかったのだが、ずっと男性用だと思っていた右手のトイレが、よく見ると男女兼用だったのである。
そうなると右手のトイレが先に空いた場合、当然、前の女性がそこを使うことになる。
僕は次を待つことになるが、左手の女性用トイレが空いたとしても無論使うことはできない。
つまり、右手のトイレが先に空き、彼女がそこに入ったとして、僕は彼女が出てくるのを待たなければならない。
それ自体はこのケースなら当たり前なので不満はないが、これは前にいる女性の方も気を遣う状況ではなかろうか。
男女兼用トイレが空いたとして、女性専用トイレがあって後ろに男性が待っているのに男女兼用トイレを先に使う。
仮に僕に順番を譲るにしても、トイレというナイーブな場所で、知らない男性に「お先にどうぞ」と言うのはなかなか勇気がいることだと思う。
そして、電車の席を譲る時と同じで「いやいや…」と“譲り合いゲーム”になると、それはそれでめんどくさい。
しかしながら、もしも同じ場所で、自分の前に女性が10人並んでいたとしたら、右が開こうが左が開こうが、男性はずっと待つことになるので、それはそれで不公平に見えたり見えなかったり…。
押し寄せる尿意を前に、そんなことをボケーっと考えていたら、急に何かを思い出したかのように、前の女性がどこかに行ってしまった。
この状況が気まずかったのだろうか、それとも変に怪しまれたのか。いずれにせよ、こちらとしては単純にトイレに行きたかっただけなのに、一人気まずい空気になったのである。
男性より女性の方がトイレの行列ができやすいという理由でこういう配慮なのかもしれないが、さして行列ができる場所でもなく。いろいろナイーブな時代。人が気疲れすることなく、設備側の方が状況を整頓しておいてくれたら助かるのに…と思ったケースだった。
【about me…】
鈴木 翔
静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。