物ごとの印象は、相手の「受け止め方」次第で大きく変わる

昨今、生き方や価値観においていろんなところでハレーションが起こっている。毎日のように次々と新しい話題がでてくるので、コロナの閉塞感も相まって、とても息苦しく感じることもある。芸能人のブログなんかもささいな発言が炎上してしまったり…。ちょっと怖いね。

僕自身は人間誰しもがマイノリティの側面を持っていると思うので、性別や見た目などだけでなく、あらゆることに対して他人へのリスペクトが必要だと思っている。だから、コミュニケーションの中で、後から「あれは間違ったなぁ」と思って反省することも時にはある。

今日はそういう難しい話がしたいわけではない。今日のテーマは、人の行動というのは「やった側」だけの要因ではなくて「受け止める側」の要因によっても印象が変わるということ。

例えば、最近もそんなことを感じる機会があった。



先日、近所にできたばかりの少し話題の店で買い物をしていたら、ちょうどオーナー関係者と思しき人物が入ってきた。服もバッグも靴も高級ブランドで固めた“歩く銀座”みたいなファッション。確かに銀座ならよく見かけるような格好だけど、築地以南まで来るとかなり浮く。

カゴを持たずに店員に話しかけているから誰だって関係者とわかるだろう。そして店内をぐるっと回りながら店員一人一人とこそこそっと話し、たった5分ぐらいで高いヒールをコツコツとしながら去っていった。

個人的に小さな違和感を感じたのは、レジの店員をチェックする時のこと。その人は客と一緒にレジに並んでいたんだけど、すぐ後ろにいる僕の前を見ても順番を譲ることなく。その後ろにも数組の客が並んでいたので「この流れが落ち着くまでちょっと待てないか?」って。

僕のカゴの中にはごくごく庶民的な商品の数々。それに対して、目の前にはブランドロゴが大きくプリントされた高級バッグがドドンと見える。さらには鼻をくすぐる香水の香り…。何だか資本の力をまざまざと見せつけられた感じがして気分が萎えてしまった。

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…って、その時の出来事を率直に書いてみたけれど、この視点には僕の主観的なバイアスが多分にかかっている。実際のところは全然違うかもしれない。いや、たぶん全然違うはずだ。

そこで「ラ・◯・ランド」風に、あえて綺麗なストーリーにまとめながら、オーナー関係者の側に立って振り返ってみよう。

「今日は夜から仕事関係の重要なイベントがあるので、それなりに華やかな格好で出かけなければいけない。忙しい中ではあるけど、イベントの前に新店舗の様子を見ておきたい。こんな派手な格好なので誤った印象を与えないようにお客さんの体でこっそり見に行くとしよう。ちょこちょこっと来て、偉そうにグズグズ長い話をするのはスタッフさんの仕事を邪魔しちゃうから、ポイントだけを手短にチェックして帰ろう。レジも長い行列ができているから、ここもお客さんのふりをしてこっそり並ぶとしよう。あ、後ろの方と目が合っちゃった、どうしても時間がないのでごめんなさい…」



こんな感じかな。コロナ禍でいろんなものを批判的に見がちだけれど、まずは一歩引いて相手の事情を良い方に察したり、周囲にリスペクトを持つと苛立つ気持ちも落ち着くはず。こんな時代だからこそ他人へのリスペクトを持ちながら、やさしい気持ちになりたいものだ。

なお、購入したものは自宅でおいしくいただきました。

【about me…】

鈴木 翔

静岡県生まれ。東京都中央区在住。出版社や編プロに務めた後に独立。旅好きでこれまでに取材含めて40カ国以上に渡航歴あり。国際問題からサブカルまで幅広く守備範囲にしています。現在は雑誌、実用書などの紙媒体での編集・執筆だけでなく、WEBライターとしても様々な媒体に関わっています。ジャンルは、旅、交通、おでかけ、エンタメ、芸術、ビジネス、経済などノンジャンルでありオールジャンル。これまでの経験から「わかりにくいものでもわかりやすく」伝えることがモットーです。

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